空の少女と海の少年
──首里城に行ったり
国際通りで買い物したり
海でのんびり過ごしたり
楽しい時間は
あっという間に過ぎていった
「──もう明日の今頃は学園にいるんだね〜。」
「沖縄に住みてえ〜。」
春と陸はベッドに横になって
沖縄での思い出を語っていた
楽しい事ばっかりだった
だけど……
「なんか引っ掛かるんだ……。」
「¨海の神殿¨だろー?毎日海行ったのにそんなのなかったしさ。結局伝説なんじゃねーの?」
「うーん……。でもさ、¨海¨があるなら¨空¨もあるはずでしょ?」
しかし、沖縄で聞いた伝説は
¨海の神殿¨だけで
¨空の神殿¨はなかった
考え込む春の隣で
陸は大きな欠伸をした
「サラとかが何も言ってこないんだからさ。そんなに気にすんなよ。おやすみ〜。」
「ん、おやすみ。」
何か納得いかない春は
夜風にあたろうとベランダに出た
今日は満月だった
海面に写る満月が幻想的で
ぼーっと見つめていると
人影が見えて、ベランダから
身を乗り出してみる
春は首を傾げた
「なんで海斗……?」
何故か水着姿の海斗は
ちょうど満月の写る場所まで行くと
そのまま海に潜ってしまった
「……っ!」
胸騒ぎが止まらない春は
水着を着るために部屋に戻った
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