空の少女と海の少年


──ちょうど満月が
大きな雲に隠れていた時
海斗と蓮はベランダで
潮風を感じながら海を見ていた

ホテルから漏れる光で
キラキラと煌めく海面

海斗は柵に寄りかかった


「この海も、俺達が守るんだよな。」

「そうだよ。そのために次の試練も合格しないといけない。」

「最後の試練……¨勇気¨だよな。それに合格すれば、俺達は完全覚醒できる。……でもさ。」


海斗は蓮の方に向き直る

悲しげなその表情は
雲から現れた月に照らされている


「完全覚醒した後、俺達はどうなるんだ?……蓮は何か知らないのか?」

「……僕は…。」


知ってるよ

完全覚醒したら
僕達はどうなるのか
魔神様が昔、話してくれたから

僕達は……


蓮は一呼吸置いて
真っ直ぐな海斗の瞳を見た


「……僕達は人間じゃなくなる。そしてリールを倒して、全てが終わったら……人間界に来ることはないよ。長い年月を楽園で過ごすんだ。」

「人間界には来れない……?それってまさか……。」


海斗が目を見開くと
蓮は顔を逸らして頷いた


「それが、僕達の運命。」


奈央、優、由紀、玲、蘭

全てが終わった時

それは大切な5人の仲間との別れ


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