空の少女と海の少年


「……ここだよね。」

「よし、行こうか。」


ちょうど満月が映っている海面の上で
蓮は第二試練の時のように
薄い闇の膜で箱を造り出した

その中に2人は入ると
箱はゆっくりと海中に沈んでいく


「ちょっと待ったああああっ!」


ボッチャンッ


突然聞こえた雄叫びを発した
赤い塊は海にダイブした

何が起きたのだろうと
2人が目をぱちくりさせて
泡が浮いてくる水面を見ている

すると、黒い髪をなびかせた
美女が水面に降り立った


「……本当に煩いわ。」

「奈々っ!?何でここに……?」

「あら、春は私達を置いていくつもりだったの?悲しいわ。」

「ちっ違うよ!急いでたから…そのー……。」


あたふたする春を見て
奈々は嘘よ。と言ってクスリと笑った


「ぶはあっ!潜ったあっ!」

「永遠に潜ってなさいよ。」

「ええええっ!?それって死!?」

「……煩いわ。その口ぶっ潰すわよ。」

「黙りまする。」


海から出て来た陸は
素直に奈々に従った

そして二人が闇の箱に入ると
箱はまたゆっくりと沈んでいった


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