空の少女と海の少年


春はキョロキョロと
周りを探すが姿はない


「こっちだよ。」


春の後ろから現れた蓮は
そのまま春の両手を掴んだ

何故か蓮は掴んだ春の右手を
胸元のジュエルに触れさせた


手がジュエルに触れた瞬間
空色の瞳に光が戻った


「……え?」

「お疲れ様。……忘れてたよ。君の力を。」


ぼーっとしている春の耳元で蓮が囁くと
春は真っ青になって暴れ出した

その力は先ほどの半分以下で
蓮は思わずクスリと笑った


「春ちゃん、気に入ったよ。ねえ……僕の仲間にならない?そしたらもっと強くなれる。」

「……何!?離してっ!」

「君はもっと強くなれるんだ。今度は君を迎えに来るよ。」


そう言い残して蓮は闇に消えた

春が気を失い地面に倒れると
海斗は春に駆け寄り抱き締めた


「春っ……ごめんな…。」

「「………。」」



空を覆う黒雲は消え去り
戦いの前と同じ満天の星空の下
3人は己の弱さを思い知った


_
< 59 / 652 >

この作品をシェア

pagetop