空の少女と海の少年


「──待って!!」

「わっ、春!?先生呼んでくるから待ってて!」


春が飛び起きると奈々は
先生を呼びに部屋を出て行った

春はきょろきょろと周りを見渡した

消毒の匂いのする白いベッド
仕切りのカーテンが風に揺れている


学園の保健室……?

でもなんで?
なんで春はここで寝てるんだろ……?


ベッドから降りようとして
手を動かそうとするが動かない

左側を見ると椅子に座った海斗が
春の左手を握りながら眠っていた


「……かわいー。」


寝顔を見るの……何年ぶりだろ

いつも隣には海斗がいて
危ない時には守ってくれて


春は小さく笑うと海斗の髪を撫でた


「海斗……ありがとーね。」


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