空の少女と海の少年


『──お姉ちゃん天使?』

『っ!』


背後から可愛らしい声がして
ヤバいと思った私はすぐに
短剣を構えて振り返った


だけど、そこに立ってたのは
深い緑色の髪に金色の瞳の少年だった


少年は私の短剣を見ると
僕は魔物じゃないよ。って苦笑いして
魔物の気配は感じられなかったから
私は服の中に短剣をしまった


『ねえ、お姉ちゃん天使でしょ?』

『そうだけど……何で分かるの?その……こんな羽根なのに。』

『だってお姉ちゃんキラキラしてる。』

『え?』


訳が分からないでいると
少年はにっこりと笑った


『お姉ちゃんの心、凄く綺麗。だけど……。』

『だけど?』

『悲しくて、苦しんでる。壊れちゃいそうだよ。』


そう言って目を伏せた少年とは反対に
私は驚いて目を見開いた


この少年は何なんだろう?


私がそう思っていると
少年は私の手を取って湖を指差した

少年の手は酷く冷たかった


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