空の少女と海の少年


「……アキ?」


リールの見ている映像は
もちろん春には見えていない


楽園にいるリールが
¨アキ¨を見たのかな……?

でもアキって誰だろう?


リールに聞いてみようと
春が口を開くと同時に
リールは春の肩を掴んだ


『お願いお姫様。力を貸してほしい。』

「ふぇ?」

『ここから出て大樹を浄化して!私は残りの力を使って体を止めておくから!早く!』

「う……うん!分かった!」


何だか分からないけど
春も早くここから出たいしね!


「……あれ、でもどうやって出るの……?」

『お姫様の力なら空間繋げる筈だよ。……かなり疲れるだろうけど。』

「そっか!よーしっ!」


春は深く深呼吸すると
体に空色の光を纏わせる

強すぎる大樹の闇さえも
飲み込んでしまう程の光に
リールはゴクリと息を呑んだ


……これが空の力……。


「うりゃあーっ!」


可愛らしい掛け声と共に
春が両手を前に突き出すと
闇の中にぽっかりと穴が空いた


_
< 630 / 652 >

この作品をシェア

pagetop