空の少女と海の少年
「……アキ?」
リールの見ている映像は
もちろん春には見えていない
楽園にいるリールが
¨アキ¨を見たのかな……?
でもアキって誰だろう?
リールに聞いてみようと
春が口を開くと同時に
リールは春の肩を掴んだ
『お願いお姫様。力を貸してほしい。』
「ふぇ?」
『ここから出て大樹を浄化して!私は残りの力を使って体を止めておくから!早く!』
「う……うん!分かった!」
何だか分からないけど
春も早くここから出たいしね!
「……あれ、でもどうやって出るの……?」
『お姫様の力なら空間繋げる筈だよ。……かなり疲れるだろうけど。』
「そっか!よーしっ!」
春は深く深呼吸すると
体に空色の光を纏わせる
強すぎる大樹の闇さえも
飲み込んでしまう程の光に
リールはゴクリと息を呑んだ
……これが空の力……。
「うりゃあーっ!」
可愛らしい掛け声と共に
春が両手を前に突き出すと
闇の中にぽっかりと穴が空いた
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