空の少女と海の少年


──海斗達は焦っていた

突然苦しみだしたリールと同じように
大樹も苦しむように暴れ出したから


予測出来ない根の動きを避けながら
どうやって春を救い出すかを考えていた


「……一発撃っといちゃう?」


蓮はそう言ってニヤリと笑い
右手に闇を凝縮した球を作り
大樹に狙いを定めると放つ

大樹も闇の球に気付かず
そのまま幹に当たるだろうと
蓮も、海斗達も思っていた


「ほわっ!!」


突然幹の前に大きな穴が現れ
そこから飛び出すようにして
出てきたのは春だった

蓮は慌てて闇の球を消そうとするが
襲いかかる大樹の根に邪魔されてしまう


「春ちゃん危ない!!」

「んー?……ふぇええ!!」


迫り来る闇の球を見た春は
慌てながらもそれを消そうとするが
さっきの穴を開けるのに
力を使いすぎたらしく
上手く消すことが出来ない

諦めて両手をクロスさせて
衝撃に耐えようとした時だった


「春っ!!」


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