空の少女と海の少年


──春と海斗は手を繋いで大樹の前に立つ


何をすればいいのか
どうすれば浄化できるか

2人には分かっていた


片方が握る手に力を入れれば
片方もギュッと握り返す

ひとりじゃない

それを確認するように


繋いでいない方の手を上げて
大樹に向かって伸ばす

いつの間にか2人の体は
空色の光と海色の光に包まれていた


『空と海の名において、自然の力よ今ここに。』


重なり合う2人の声に応えるように
どこからともなく光の球が現れた


地の茶

水の青

風の緑

氷の銀

雷の黄

光の金

闇の黒

そして、火の赤と気の紫


全部で9つの光の球が
春と海斗の周りを回ると
体から溢れる空色と海色の光が
ヴェールのように包み込む


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