空の少女と海の少年


恐怖を感じたように
大樹の根はピクリと震え
春と海斗に向かって一斉に振り落とされる

しかし、2人に触れる直前で
ピタリと根は固まった

動きたくても動けない

大樹の葉はざわざわと鳴いた


「闇の支配者は僕だよ。」


クスリと笑って指を動かすと
固まっていた大樹の根が幹に絡み付く

闇と言う名の糸に操られて


楽園の中の闇を支配する
それは不可能に近い

だが、それをやってのけたのは
空の王子である蓮だった


額を流れる汗を拭い集中力を更に高め
春と海斗を見るとフッと笑った


「早くしてよね……これキツいんだからさ。」


_
< 637 / 652 >

この作品をシェア

pagetop