空の少女と海の少年
「まあ、春は¨色¨があるんだから、私達と同じよ」
「そうだよっ!……ほらっ!」
春は目を閉じて意識を集中させ
そして、ゆっくりと目を開いた
さっきまで焦げ茶色だったその瞳が
空のように澄んだ水色になっていた
能力者の証とも言えるのが瞳の¨色¨
能力によって色が決まるらしいが
まだまだ知られていない能力もある
春の空色もそのひとつ
「……春。こんなとこでやって人に見られたらどうするのかしら?」
「わわわっ」
奈々が黒い笑顔で微笑むと
春は慌てて瞳の色を戻した
「奈々の言うとおりだよ楠木、見つかったら学園に送られちゃうだろーが」
「誰もいなくて良かったな」
陸と海斗が笑いながら言うと
春は、ん?と後ろを振り返った
後ろには誰もいない
春は首を傾げる
「んー……」
「どうした?」
「何でもな……ああ!?」
春は腕時計を見て叫んだ
時計の針は9時10分を指している
「遅刻だあ!!」
春は海斗の腕を引っ張ると
もの凄い速さで走り出し
奈々と陸も笑ってその後を追いかけた
そしてもう1人
4人の後を追い掛ける男がいた
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