空の少女と海の少年


──俺達4人は親に捨てられた


12月の凍えるような寒さの中
孤児院の戸口に捨てられてたらしい

たくさんの毛布に包まれて
大きなカゴの中で4人一緒に

一緒に置いてあった手紙には
俺達の名前が書かれているだけ

そんな俺達を園長は引き取ってくれた


優しい園長と他の子供に囲まれて
俺達は親がいなくても
幸せな毎日を送っていた


しかし、孤児ということで
小学校に上がってからは
イジメを受けるようになった

無視されたり
物を隠されたり
ひどい時は殴られた

辛かったけど、平気だった

だって隣にはいつも
春と陸と奈々がいたから

陸は毎日笑わせてくれて
奈々は俺達をまとめてくれて

春はいつも笑顔で笑ってくれた


春の笑顔に俺達は何度も助けられた

どんなに辛くても
春の笑顔を見たら
そんなのどうでもよくなるんだ


そんな頃から
俺は春に惹かれてたのかもな



だけど、忘れもしない

中学生になったばかりの5月

春の笑顔は消えた


_
< 90 / 652 >

この作品をシェア

pagetop