空の少女と海の少年
俺達も疲れたから
春を起こさないように抱きかかえると
どこかホテルを探す為に周りを見回した
が、
「タヒチって観光地だよなー。」
「ああ。」
「ホテルくらいあるよなー。」
「……ああ。」
どこを見ても、木、木、木
俺と陸は道案内をした奈々を
チラリと見て、小声で話した
「奈々ってさ……方向音痴とか?」
「あら陸、聞こえてるわよ。ここが嫌ならすぐに他に飛ばしてあげるわ。地獄?天国?どっちがいいかしら?」
「ひいっ!」
黒いオーラが溢れる奈々の笑みに
陸は怯えて森の中に走っていった
奈々こえーな……
それにしても、どうすっかな
この島には宿どころか家もねえだろ
人の気配も感じられないし
もしかして、ここって
「……私、人がいる所って嫌いなの。あえてよ、あえて。」
「やっぱり無人島か……。」
俺が溜め息をつくと
森の中から陸が帰ってきた
忙しい奴だな
「なあ!!家、家あったぜ!誰も住んでないっぽい!」
「じゃあとりあえずそこ行くか。」
「そうね。」
俺と奈々は陸の後に続いて
森の中を進んでいくと
森が開けた空き地の隅に
ポツンと小さな家が建っていた
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