空の少女と海の少年


本当に人が住んでないのか?
って思う程、小屋の中は綺麗だった

布団は4人分あるし
ライトもちゃんと付く

とりあえず春を布団に寝かせて
俺達も布団の上に寝転んだ


こうやって4人で寝るのは
同じ部屋だった小学生の時以来で
お菓子とかをつまみながら
懐かしい気持ちで語りまくった


「ん……。」


しばらく話していると
春が目を覚ました

まだ眠そうな春は
大きな欠伸をしたあと
俺達を見てにこりと笑った


「……春寝ちゃったあ。ここどこー?」

「無人島で、たまたまあった小屋。それよりさ、腹減ってない?」

「うん、食べるー。」


俺が差し出したチョコを
おいしそうに頬張ってる春

春も加わって色々な話をした


その途中で、ねえ。と春が話し出した

その時にはもう窓の外は暗く
少し欠けた満月が夜空を照らしていた


「今まで、ごめんなさい。みんなに我が儘言って、心配かけて……。……春ね、あの時の事が毎日夢に出てきたの。怖くて、気持ち悪くて、助けてって言いたいのに、何も言えなくて。」


小さく、震える春の声に
俺達は真剣に耳を傾けた


「だけどね、昨日は違ったの。春と奈々と海斗と陸で、海にいたんだ。楽しくって、楽しくって、あの事を忘れられたの。起きたら、みんなに会いたくなって……我が儘言っちゃったんだ。……ごめんなさい。」


ライトを付けてないから
暗い部屋の中で春の顔は見えない
唯一、部屋を照らす月明かりが
春の頬を流れる涙を照らした


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