スタッカート


結局、周りからの痛い視線に明らかに不機嫌になったトキは、まだドレス姿の私に、自分はここで待っているから早く着替えて来い、と荒々しく告げて。


ドレスのデザインで後ろが開き、むきだしになっている私の背中を楽屋の方へと強く押した。


セクハラ、と言って振り返ると、殺す、と言いながらも顔を赤らめるトキを、かわいいと感じて―自然と、笑みが漏れた。


急いで楽屋に戻り着替えを済ませた後、ふとケータイを見るとヒナからのメールが入っていた。



―トキ君に変なこと言われなかった?もし言われたんだったら、私が後でぶん殴っとくからね―


その時、思わずにやけてしまった自分の顔を、周りに気付かれないように、慌てて俯いて隠した。



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