スタッカート
…それから。
長い長い、沈黙が降りた。
考えるように足元に視線を落としたトキの歩調がだんだんと遅くなり、私もそれに合わせのろのろと歩く。
やっぱり、駄目だったのだろうか?
…邪魔だろうか。
考えれば考える程ネガティブな方向にしか行かない。
でもそう考えた方が上手く繋がってしまうのだから、悲しい。
そうやってへこんでいると、ぽつりと零された心地よい低音が耳に届いた。
「前にも言ったが、お前みたいな奴には、うちの高校は危険だ」
「…うん」
「何があるかわかんねえ。」
「…うん…」
「それでも、いいのか」
その、言葉に。
下を向いていた顔を上げて隣を見ると、困ったように眉を下げたトキと、目が合った。
思わず口元が緩み満面の笑みになった私に、トキはぎゅっと眉間に皺を寄せて
そして、無言で掌を出してきた。
「ケータイ、出せ」
…ケータイ?
誰かに電話でもかけるんだろうか?
そう首をかしげながらもバックからケータイを出し掌に載せると、直ぐにいじりはじめ、ものの数分で手元に返される。
首をかしげたままの私に、トキは言った。
「俺の番号を入れといた。…来るときは、連絡しろ」