スタッカート




昼休みが終わり席につくと、隣の席の清水さんが机の上に置いたドビュッシーの楽譜を指してにっこりと笑いかけてきた。


「いつも、昼休みにピアノ弾いてるのって伊上さん?」

「え…あ、うん」


「そうなんだ。すっごく上手だよねえ。いつもみんなで凄いね、だれが弾いてるんだろうねって話してたんだよ」

私はそれに曖昧に笑い、楽譜をそっと鞄の中に仕舞った。


なんだかすごく、恥ずかしい。


…それに

お世辞なのかもしれないとは思っていても、自分のピアノが褒められたことが素直に嬉しかった。
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