スタッカート
びくり、と肩が震える。


…まさか。



慌ててケータイを開き画面を見て、私は、目を見開いたまま数秒の間固まってしまった。






−トキ−





尚も震え続けるケータイ。
主張する数の列。


一度、目を閉じて深呼吸をした私は


ボタンの並びにゆっくりと指を這わせて


通話ボタンを、押した。






「……はい」

渇いた喉から、震える声を搾り出す。


篳しの沈黙の後


小さな笑いと共に、心地良い低さのあの声が、耳に届いた。






「…かけてきたと思ったら、ワン切りか?」








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