スタッカート
…あいつら?
首を傾げて怪訝な顔をする私に、トキは返事を返すことなく、いつのまにか目の前に迫っていた軽音部の部室のドアに手をかけた。
ゆっくりと、ドアが開いていく。
眩しいその景色に、目を細める。
…ああ
これに、会いたかったんだ。
古ぼけたグランドビアノ。
どっしりと構えるアンプ。
床にうねるいくつものコード。
耳に届いた、クラシックではきけない音たち。
胸に、じわりと温かいものがしみてきて、私は小さくため息を漏らした。
…そして次の瞬間、真正面からのどすんという重い衝撃とともに、視界が真っ暗になった。
「とおこちゃあぁああん!!会いたかったよぉお!!」
…ハチさん、だった。