スタッカート
「お、おびざじぶりです…」
ぎゅうぎゅうと体に巻きついている両腕が力を増してきて、呼吸するのが難しい程の苦しさに、そう言うのがやっとだった。
ハチさんは少しも腕の力を緩めることなく、言葉を続けた。
「寂しかったよ東子ちゃん!君がいない間、本当に毎日この部室はむさくてむさくて、やっぱり男はダメだね。それに比べて……ああ、女の子は…いい匂いだなあ…」
―その時
ぞくり、と背筋に鳥肌が立った。
背後から感じる、このオーラ。
じわりと額に冷や汗が滲むのが、自分でもわかった。
「―………邪魔」
絶対零度の、トキの声に。
一瞬、時が止まった。