スタッカート


「と、“東子”!?」

三人のなかの一人の、金髪頭の男の人が、目玉が飛び出そうなくらい目を見開いてそう言ってきて、

私はただ、がくがくと首を縦に振った。


「生だ!生“東子”だ!やっべええ!俺初めて見た!」

「いやなんか、お前が生とか言うとやらしい」

「今そういうコメントはいらねえ!写メれ!この機会を逃すな!」


金髪、メッシュ、剃りの入った坊主。

いかつい顔の面々は、唾が飛ぶ勢いでそう口々に捲くし立てると、ぐいぐいと私との距離を詰めてきた。


何だかわからないけど

とりあえず、怖い。


眉を八の字にし体を強張らせると、横から目の前に広い背中が現れて、影が落ちた。


「…お前ら全員、邪魔」


その、低音ボイスに顔が引き攣った。


…今日のトキは、もうずっと、ご機嫌斜めのままかもしれない。

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