スタッカート
「はいはい。そう苛々すんなってー」
手をひらひらさせて、いかつい集団と男の子とトキの間に立ったハチさんが、にこにこと笑いながら言う。
トキが小さく息を吐いて離れると、集団の男の人は困ったように眉を下げて。
そのようすに、ハチさんはにっこりと笑い、男の人たちのほうに向き直り口を開いた。
「今日はそっちからだよな?」
集団の中の、坊主の男の人が頷いて答える。
「はい。5時からです」
「じゃあすぐに始めていいから。あと、アンプは直しといたから、前回みたいなことがないように気をつけて使えよー」
ピアノの傍に置かれた四角い箱のような機械を指して、ハチさんが言う。
その言葉に、三人とも深く頭を下げた。
「ありがとうございます!!」
その様子を、私はただ、ぽかん、と口を開けて見ているだけだった。