スタッカート


ピンク、黄色、うす緑。

三色の、大きな厚手の紙には、小さな文字で時間や場所が書かれていた。
それが、ひとつひとつ、うすい線で区切られている。

「今度の三高合同ライブのチケットなんだ」

ハチさんが、そう言って私にハサミを差し出しくる。
私はそれを受け取って、首をかしげた。

「三高、合同…?」

「うん。ここからは少し離れたところにある高校なんだけど、そこの軽音部とは前々から付き合いがあってさ。」

そう言って、机とイスを引っ張ってくると私の前き、座って、と目で言ってくる。

私はありがとうございます、と頭をさげて、自分もイスと机を持ってきて、ハチさんの前に置いた。

目が合って、ふたりで笑う。

ハチさんはハサミで紙を切りながら、少し口端を上げて続けた。


「この前のライブを見に来てた、そこの軽音部の俺の友達がさ、合同でやったら面白いんじゃないかって言ってきて。


本当は、前のライブで最後だったんだけど、また出ることになったんだ」


そう言って、くすりと笑った。


…前のライブって。

私が始めて、ライブに行ったときの。


そういえば確か、ハチさんは「三年生にとってはこれが最後のライブ」って言っていた気がする。


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