スタッカート
「なんで、出ることになったんですか?」
そうきくと、ハチさんは暫く押黙って小さく唸ると口を開いた。
「俺、ドラムなんだけどさ……別のバンドのドラムの奴が、家庭の事情で学校辞めてさ。
もう一人一年に居たんだけど、そいつはそいつで……まあ色々と」
最後の言葉は濁しつつ、そこで言葉を切って
環境が環境だからかな―そう、呟くように言って、ハチさんは眉を下げた。
「…まあ諸々の事情でドラムが居なくなって。結局、ドラムは俺と恵だけになってさ。俺も恵も引退しちゃうとドラムがいなくなっちゃうし。
…それは結構、キツいもんがあるから。
そんなかんじで、俺と恵、勇太−勇太は、トキとのバンドのために、自分で残ることを決めたんだけど−以外の三年はとっくに部活引退してんだけど、俺らだけ助っ人として残ってるんだ」