スタッカート

ピアノのことを言われたこと。
私の学校のこと。


…そして


「私、そこから逃げ出したくて、逃げ場所を探していたのかもしれない。……だから、今日もここに来てしまったんだと思う」

本当に全部、さらけ出してしまった。


話し終えると、長い沈黙が降りてきた。


同じ沈黙でも、さっきのものとは違う種類の沈黙に、私は居心地の悪さを感じ、ちらちらと隣に立つトキを見ては、反応を気にしていた。


おおよそ、言われる言葉は予想できていた。


くだらねえ。
そんなことで。

きっと、そう言われる。


そう勝手に予想して、勝手に苦しくなっている自分に、また首を傾げた。


何をしているんだろう、私は。


小さく息を吐いて、もう一度、視線を送る。
すると今度は薄い唇が動いて―



「いつでも、逃げてこればいいだろ」



その唇が、そう、言葉を紡いだ。



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