スタッカート
10
それからの日々は、本当に穏やかで。
私は佐伯に背中を押されながら、昼休みになるとピアノの練習をしに音楽室へ向かった。
清水さんも、やっぱり普通どおりの態度で――陰口も、あれ以来聞いていない。
正直、ほっとしている。
…けれど、この安心感の理由は別のところにあるのだと、分かっていた。
「逃げ場所」がある、安心感。
結局のところ、それなのだ。
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