スタッカート
ということは、清水さんが柴農について言っていたことも……全部。
自分の高校のことをあんなふうに言われて、いい気持ちはしないだろう。
私は心の中で深くため息をつき、眉を下げて視線を落とした。
そんな私に、心地よい低さのトキの声が降って来る。
「…うちの高校のことは
別に、俺は何て言われようが気にしねぇ」
目を見開いて顔を上げ目の前のトキを見ると、トキは穏やかに微笑んで見せて、再び口を開いた。
「悪く言うやつもいれば、良く言うやつもいる。どうでもいいって思ってる奴だっている。
色んな奴がいて、それぞれに違った視点があって、それが当然だと思うから。
別に、柴農が嫌いなわけじゃねぇし、むしろ好きなほうだけど――どれだけ馬鹿だとかレベルが低いだとか言われたって、それに対してムカツク事はねぇ」
ねぇ、けど
そう、言ったトキは、少しだけ眉を下げ口元を緩めて。
「矛盾、してるけどな。
お前が、あんなに必死になって、うちの高校の奴らのことを“傷つけたら許さない”つったのは、正直……嬉しかった。
だから、まあ…お前がそんな顔をすることはねぇし。だいたいがお前は何もしてねぇだろ」
そう言って、トキは穏やかに笑った。