スタッカート
11
「ひとりは駄目だ」
その言葉が、頭から離れない。
……ひとり。
一人、独り。
自分で、小さく呟いてみる。
でも、トキの、あの切なげなかんじは――すごくすごく、特別な言葉のような響きだった。
俯いて、唸る。
「どうしたの?」
そう、頭上から、ヒナの声が聞こえた。
顔を上げると、きょとん、と首を傾げるヒナの、円らな瞳と目が合う。
眉を下げてため息をつき、再び俯く。
くすり、と小さく笑うのが聞こえて、ヒナの表情が緩んだのが分かった。
視線をあげる。
何でもお見通しだという、目が。
私を、優しく見つめていた。
「トキくんの事ね?」