スタッカート
飛び跳ねて。
拳を突き上げて。
頭を振って。
そんな人たちを眺めていると、何だかとても不思議な気持ちになった。
……色々な、楽しみかたがあるんだ。
そう、心の中でひとり呟いて、納得する。
一人で静かにきくのが好きな私のようなタイプだとか、こんなふうに体全体を使って音を感じるタイプだとか。
さまざまな音楽があるように、さまざまな楽しみ方があって。
皆が決まったところに進まなきゃいけないわけじゃない。
ただ一つの正しさなんてここには無い――そう思うと、何故だが心に、心地よい温かさが溢れた。
妙に感傷的になっているその時、不意に誰かに肩を叩かれた。
「ああ、やっぱり“東子”だ」
声のほうに顔を向ける。
視界に入った銀のピアスが、きらりと光るのが見えた。