スタッカート


「今日は、トキの応援で来たの?」

そうきかれて、反射的に首を振った。
……本心は、その言葉の通りの気持ちも含んでいたけれど、何となく、肯定はできなかった。


私の反応に、海陽くんはふうんと呟いて目を細めると、それ以上は何も言わずに私の横に立って、穏やかな目でステージを見つめた。


忙しく色を変える沢山のライト、汗だくで歌うボーカル。

爆音、奇声。

騒がしいその中で、私と海陽くんを包む空気だけが、場違いに落ち着いていて。
それでも、それは、少しも居心地の悪いものじゃなかった。


「東子ちゃんさ、」

そう声をかけられて、隣の海陽くんを見る。
その目は、しずかに前方を見据えたままだった。



「トキの、何?」







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