スタッカート

どうして、何だろう。

……私は

トキがそこにいるというだけで、心から安心していた。
その温かさは、じわじわと冷えた心に染み渡っていって。

気付くと、何時の間にか、ステージに向かって一歩一歩近づいていく自分がいた。

「すげえよなあ」

ステージ前の集団からは二メートル程はなれたそこで足を止めると、隣からそう声が聞こえた。
視線をゆっくりとそこに向けると、眉を片方だけ微妙に下げて、微笑む海陽くんがいた。

「あいつ、ステージに立つと変わるんだよな。……むかつくぐらい、」

そう、言葉を切って。


「かっこいいん、だよな」



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