スタッカート
「……よくわからないんだけど、もう一回、説明してもらっていい?」
暫くの間佐伯の言った言葉の意味を考えてみたけれど、うまく頭の中で繋ぐことができなかった私は、そう訊いた。
佐伯は一瞬目を見開き、間を置いて眉間に深く皺を刻んで言った。
「わざとか?そうやって傷をえぐる気か?」
「え……傷?傷つけた!?いつ!?」
「もういい。一生分からないでいい。その方が助かる」
いや、気になるから!
そう口を開きかけた、その時。
「東子!!」
聞き覚えのあるその声が、私の背に当たった。