スタッカート
12
降りしきる雨をぼんやりと眺めながら、曇る窓ガラスに人差し指で縦に一本線を引く。
指先に、ひんやりと冷たさが宿る。
私は机の上に上半身を投げだし目を閉じて、小さくため息を吐いた。
制服の胸ポケットに入れたケータイを探る。指先に固い感触がして、そのままずるずるとストラップを引いて引きずり出す。
目を薄く開け、ぱかりと開いた。
バイブレーションにしているケータイは、今日はまだ、一度も震えていない。
分かっていた。
分かっていた、けれど。
画面を見た私は深くため息をついて
またしずかに、目を閉じた。