スタッカート

「―おかけになった電話は―…」

冷たく、なんの感情も含まれていないその声を、何度聞いただろう。



――踏み込めるかもしれない

ヒナの言葉が蘇る。



本当に、そうだろうか。

今、私は

決して入ってはいけない他人の領域に、無理矢理足を突っ込もうとしているのではないか。



……と

そう、思うのに、



結局トキとの「繋がり」を失うのを恐れる私は、あの日から一週間が経った今でも、こうして毎日、勇気を振り絞って電話をかけ、そのたびに訪れる同じ結果にこうして伏せている。


自分でも、何をしているんだと思う。
何がしたいんだ、と。



けれどもこの足が、その場に縫い付けられたように動かない。




……私は、ずるい。