スタッカート




ど、どうしよう……


本人は気付いていないようだけれど、今ここで、私はトキと二人っきりで。


心臓がバクバクと胸を叩いて、私は唇をきゅっと結んだまま、そうっとピアノの上に寝転ぶ彼へと視線を向けた。


稲光が窓を突き抜けて、電気をつけていないせいで薄暗い音楽室を照らす。
白いシャツの背中が、やたらとはっきり、目に写った。


何で二人っきりにしたんだろう?
どうして――


ぐるぐると頭の中で考え込んでいると、


「……仮にあいつが何もきいてないとして」


そう、ぼそりとトキが呟いて、驚いて肩が震えた。



低く、良く通るその声が、しずかな音楽室に響く。




「……話して、どうなる。




軽蔑されて……もう全部、終わりだ」




その言葉に、目を見開いた。









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