スタッカート
長い沈黙が降りた。
張り詰めたその空気を絶ったのはトキのほうで。
彼はがばりと勢いよく起き上がると髪をかきあげながら辺りを見渡して私の姿をその目で捉えると、動きを止めた。
ひとつ瞬いた、トキは。
眉間にぎゅっと皺を寄せて、苦しそうに零した。
「……何で、ここにいる」
握った拳に力が入る。
顔がじわじわと熱くなり、微かに視界が滲んだ。
「ハチさんが、連れてきてくれたの」
震える唇を必死に動かしてそう言うと、チッという舌打ちが耳に届いた。
「トキ、」
「……」
トキ。
「………会いた、かった。」
喉の奥から搾り出したその声は、最後の方ははっきりと分かってしまうぐらい、震えてしまった。