スタッカート
日は過ぎて、両親が帰ってこなくなって半月が過ぎた。
俺は、だんだんと他人の家に入ることや物を盗むことに対しての抵抗や罪悪感が薄れ、誰の物だろうが、なんだろうが躊躇わずにポケットにつっこむようになっていた。
完全に、感覚が麻痺していた。
だからあれは、その罰だったんだ。
ある日
いつものように、盗みに入った。
部屋に来る前に、ここから30代ぐらいの女が相当慌てた様子で階段をかけおりて行くのを見ていたから、もしかしたらっていう期待はあったけど、鍵は開いていた。
……まあ、でも。
その時はもう、例え鍵が閉まっていても、簡単に開ける事はできたけど。
夜明け前の薄暗い部屋を、足音を立てないように歩いた。
引き出しという引き出しを開けて
食い物、金。
手当たり次第に、持ってきた袋とポケットに突っ込んだ。
全てを元通りにしたあと、静かに玄関へと向かう。
その時、腕に何かが当って、がしゃん、と音を立てて床に落ちて。
思わず声をあげそうになるのを飲み込んで、音の主を見た。
それは
銀のフレームに入った
家族写真だった。