スタッカート
私を真っ直ぐに見つめる藍色の瞳が、揺れる。

せきを切ったようにあふれ出すのは、涙と、言葉。

「私、この前のライブで……トキが大勢の人に囲まれるのを見て、すごく遠くに行ってしまうような気がして

胸が、苦しくなったの。
離れたくないって思った。
何様って感じだよね、私、トキの何でも…無いのに」

息を吐いて、再び口を開く。

「だけど……そんなやつ、だけど。」

――ひとつだけ、わがままを言わせて欲しい。

「これからも……関わっていきたいし、傍にいたい」


あふれ出した涙は、頬を伝って落ちる。
見つめる藍色の瞳に、くしゃくしゃになった私の顔が映る。

その瞳から、一粒滴が生まれて、曲線を描き頬を伝って。
私は、目を見開いた。


それは


初めて見る

トキの、涙だった。




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