スタッカート

「あんたって子は……」

何故か呆れ顔になったヒナは、こめかみに手をあて重いため息をついて。
私は、慌てて顔の前で掌をぶんぶんと横に振った。

「いや!だってそんな…それ以外にありえないでしょ!?」

「何でそうなるのよ!普通わかるでしょ!
だいたいねえ、じゃあさっき頬染めてたのは何なの!」


「や、……あれは!
トキの言葉を、都合の良いように考えてしまった自分が恥ずかしくなって―そんなのありえないのに、………って、アレ?」

勢いのまま言ってしまった自分の言葉に、首をかしげる。

何か今、引っかかった。

ヒナはにんまりと笑って

「都合の良いように、って何?」

と悪戯っぽい口調でそう言うと、ふふっと小さく声に出して笑った。

それは、と口を開く。
でも、その先が言えなかった。

私にとって
都合の良いように?

それは

そうであったらと、願うことで。


ぐるぐると、頭の中をさまざまなものが駆け巡る。


笑ったトキ、歌っているトキ

涙を流したトキ――。

途端。

顔が、熱くなった。







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