スタッカート




「お!東子ちゃんも来てたんだ!」


目を輝かせてそう言ったハチさんは、ズンズンとこちらに近付いてきて、ベットの端にドサリとビニール袋を置いた。

ぽかんとしている私とヒナの視線にも気付かずに、錆びたパイプイスにドスンと腰を下ろす。


ビニール袋の結び目を解きながら、機嫌よく言った。


「いやあー良かった良かった。ヒナちゃん、明後日退院なんだって?

さっきすれ違った、めちゃくちゃかわいい看護師さんが教えてくれてさあ。

あ、これ俺の実家で作ってる林檎と、それとヨーグルトとゼリーね」



そして、やっと、固まる私とヒナに気付いて



「…?…二人とも、どうしたの?」



と、きょとんと首を傾げたのだった。
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