スタッカート

「トキの過去を、聞いた日から」

続けてそう言うと、ハチさんは見上げていた空からゆっくりと視線をこちらへ向けてきて、視線を合わせ、ふ、と表情を緩めた。


「もう、全部聞いたんだね」


そう言って首を少しだけ傾けて笑ったハチさんに、はい、と頷く。
心拍数が上がる心臓を抑えながらひとつ息を吐いて、再び口を開いた。



「トキは……すべてを一人で抱え込んでいるようでした。

その姿を見て、たしかにトキがやったことはいけない事ですけど

それは……環境のことが大きく関係しているし、彼が全てを背負う責任はないんじゃないかと思ったんです。


もっと自分を許しても、いいんじゃないかって」


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