スタッカート

―軽蔑されて、もう全部終わりだ。

―俺にはそんな資格、無いくせに。


トキの過去を聞いた日から、その言葉が頭から離れなかった。

苦しげな表情、潤んだ瞳。
記憶の中のトキは、脆く、弱くて。

彼は、たった一人ですべてを抱え込んで、こんなにも苦しまなければならないのか、と。

何もできない自分が

悔しくて

悲しかった。


.
< 292 / 404 >

この作品をシェア

pagetop