スタッカート
「いつまでも過去の姿ばかり見て、会う事も拒否し続けて。今のアイツを見ようとしなかった自分が。……あの頃から何も、成長していない自分が。
いろんな事を経験して、アイツは変わったのに。
過ぎた時間は、俺も同じはずなのに。
……いったいこれまで、俺は何してたんだろうって。
何を見てきたつもりだったんだ…って。
だから余計に、苦しそうな顔で、何度も頭を下げるアイツを見てたら―……もうどうしようもなく、自分が許せなくなったんだ」
表情を歪めてフェンスに指をかけた佐伯は、その指にぐっと力を入れた。
沈黙が、流れる。
「俺は、アイツに、いらない罪を背負わせた」