スタッカート
こんなにも、トキとの出会いは、私の中で大きな変化をもたらしてくれた。
目を閉じて、小さく息を吐く。
とうとく、と心臓の音が自棄に大きく聞こえる。
―向き合うべきなのは、自分だ。
―ただ、傍にいることも大事なんだよ。
失くしたもの、得たもの。
見つけたもの。
これから私がすべきこと。
心の底から、したいこと。
ゆっくりと目を開く。
ふと、優しげに目を細めて笑ったトキの顔が浮かんで、しずかになった胸の中、その声が響いた。
―弾けるじゃねえか、ちゃんと。
冷えた冬の風。
バス停までの道のり。
何時だったか、彼と一緒にこの道を歩いたことを思い出し、探せばどこかに、あの背中が、不機嫌そうに眉を寄せて振り返る姿がある気がして。
無性に、会いたくなった。