スタッカート
え…?
首を傾げると、再度呆れたような顔をされる。
「その鈍感さ、少しは直せねえのか?」
鈍感…!?
「いやいや、そんなこと無いよ!それに私そんな影響力のある人じゃなし、海陽くん、絶対何か勘違いしてる!」
「勘違いな訳あるか!まずアイツの歌に君とか出てくる時点でなあ、」
「お前ら、うるせえよ」
突然、背後から聞こえた声に、びくりと肩が震える。
しかし振り返る前に
「来い」
と腕を取られて後方に引っ張られた。
振り返って向き合ってみれば、不機嫌そうに顔を歪めたトキが私を見つめていて。
さっきのさっきで、いや、今のタイミングで会ってしまうから、また顔が熱くなってしまった。
そんな、きっと真っ赤な顔をしているだろう私を見て、トキも表情を怪訝なものに変える。恥ずかしさで余計に顔が熱くなり、咄嗟に顔を俯かせたとき
「そうだろ?トキ」
背後から、海陽くんの声が聞こえた。愉しげな声色のそれに、肩がピクリと震える。
そんなはずない、と心の中で激しく首を振った。
けれど、目の前に立つ人物は
「だったら、なんだ」
挑戦的な笑みで、そう言ったのだった。