スタッカート
かっと顔が熱くなって、顔の前で手をぶんぶんと横に振る。
「…ちっ…違う!!それは無い!あり得ない!!」
「じゃあ嫌だったのか?」
「い、いやそういうわけでは…」
…って。
ああああ…
また、
「おもしれー」
彼のペースに、のまれた。
くくく、と喉の奥で笑う声が耳に届き、恥ずかしさと悔しさで顔が余計に赤くなるのを感じながら、眉間にぎゅっと皺を寄せて、目の前に立つトキを見る。
彼はさっきよりもさらに意地の悪そうな笑顔を向けて、私に向かって手を伸ばしてきた。
反射的に体を強張らせるとそれさえも笑われて、また腕を取られて。
きっとこれからも一度だって勝てない。
悔しいけれど、そう認めるしかなかった。