スタッカート
「トキー、打ち上げどうすんだー?」
大勢の人の中を腕を引っ張られるまま進んでいると、背後からそう声がかけられた。
振り返れば、満面の笑顔の勇太さん、恵さん、ハチさんと目が合う。
勢ぞろいしてる…!!
こんなところを見られるなんて、と恥ずかしさに恥ずかしさが重なり、手にいやな汗をかいた。
振り返ったトキは、掴んでいる腕をぐっと引き寄せて、機嫌の良さそうな笑顔で答えた。
「行かねー。コイツ送って帰る」
…いや、顔近いって!
心の中で叫ぶだけで声にすることもできず、パクパクと口を開けたり閉めたりするのを繰り返す私の頭上からは、また笑い声が聞こえる。
悔しいやら恥ずかしいやらで涙目になる。
うううう…という唸り声に、トキの堪えるような笑い声が重なる。
そうして、私はまたずるずると引っ張られていくのだった。