スタッカート
イスに座って、三人をぽかんと見ていた私と、男の人の目が合う。

「え…何この子……かわいいんですけど……」


「…てめぇ…」


トキが今まできいたことのないような低い声をだし、先程の言葉で一瞬考えることをやめた私の脳が、すぐに目を覚ました。


「二人ともストップ〜」

背後から声がして、私は振り返った。
ドアをぴしゃりと閉めて、くせ毛っぽい髪を邪魔そうに払いながらこちらに向かって来る、すらりとした長身の人。

−恵さんだ。

そして男の人に前に立ち、真顔で言った。

「あきらめろ。この子はトキのだ。」










「ちっがぁああぁあうぅぅ」


夕日色に染まる軽音部の部室に、私の叫びにも似た声がひびいた。




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