スタッカート
なにをあんなに騒いでいたんですか、と私が聞くと、ハチさんはもじもじしながらその理由を話した。
「いやあの…俺、高校入ってから一度も彼女できたことなくて…もう3年なのに…。だから思い出づくりとしてカップルってのを体験したくて、半年前から女子に告りまくってんだけど…全部振られてるんだ」
そりゃそうだろう…
私は喉まででかかった言葉をあわてて飲み込んだ。
「俺に何が足りないんだろう!?」
「まずしょっぱなから間違ってるだろ、いろいろと。」
私が答えに詰まっていると、トキが横から厳しい一言をハチさんに投げかける。
どんどん小さくなっていくようにみえるハチさん。
トキが深くため息をついて、呟くように言った。
「…こんなのが部長だもんな」