スタッカート
いつのまにか、外はすっかり暗くなっていた。

「東子ちゃん、時間大丈夫?」

勇太さんが心配そうに、7時を回った時計を指差していった。

「ヒナが戻ってくるまで、待とうと思うんですけど…」


私がそう言った時、足元に置いてあったカバンから、ヒナからの電話を知らせる着信音がきこえた。
急いで電話を取る。


「-もしもし」

「もしもし、東子?」

「…うん。大丈夫?結構時間かかってるみたいだけど……」

電話の向こうで、ヒナが大きくため息を吐く声が聞こえた。

「なんかね、まだ話やるみたいで…ごめん、先に帰っててもらっていい?いつ終わるかわかんないんだ…」


流石に心配になって、思い切ってきいてみた。


「何かあったの?」

長い沈黙。


「ちゃんと言えるときになったら、話そうと思う。…ごめんね?」


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